『青少年有害社会環境対策基本法』に類した
インターネット利用における個人的見解

〜未成年のお子様がインターネットを利用をしている保護者の方へ〜
1.はじめに

 インターネットの現状は、僕のような一個人が把握できるほど狭いものではなく、その表現手法や、ジャンル、内容においても、すでに広範囲に及ぶ、巨大なマスメディアになっている、と言っても過言ではありません。

 他方、現実社会に置いて少年犯罪を主とした未成年による犯罪の凶悪化が進んでいることや、インターネット上において明らかに違法性のあるコンテンツを主とした悪徳業者が見られるのも事実です。

しかしながら、その両者が直接的な関係にあるとは思えません。

 そもそも公序良俗違反であるもの、違法性のあるもの、脱法行為・犯罪性の高いものは現行法体系に基づく警察権によって摘発されて然るべきです。

 言論統制、表現の自由への抵触になりかねない『青少年有害社会環境対策基本法
にあるような、明確なガイドラインの無い「検閲システム」などによって一括的に「青少年に有害であるか、そうでないか」と審査するのは、新たな弊害・利害関係を生み出し、無用のコストを生み出す以外の何モノでもありません。




2.インターネット内の状況・環境

 大まかに言えば、「インターネット利用」とは、インターネット上の性質上、専用回線に接続したコンピュータを通じ、インターネット上に点在する、それら情報に触れることになります。

 「『向こう側』でコンピュータを操る人間の顔が見えない」匿名性や「インターネット、ウェブ」といった言葉は、先入観としてキケンなイメージがつきまといます。しかも、そのコンピュータを扱う技術力の有無や差異によって、インターネット利用者間においても歴然としたパワーバランスがあることも事実です。しかし、この技術に対し、未知の空間として怯える必要は無いのです。

 例えば、コンピュータ使用者が、コンピュータに特定の命令を与えなければ、問題のあるサイトや、違法性のあるコンテンツにたどり着くことは出来ないでしょう。つまり、使用するにあたり、利用者の正しい意志、正しい判断力があれば未然に防げるわけです。

 (ここで断っておきますが、使用者の意志に反し、自動的にコンピュータを遠隔操作してしまうようなプログラム、侵入してそのコンピュータ内の情報を取得しまうようなプログラムがあるとするなら、それは、この法案とは別問題ですので、ここではその議論をしません。)

 つまりインターネットを使用するにあたり重要になってくるのは、現実社会と同じ、自己責任能力です。
一般社会人であっても、正しい判断力や自己責任能力が無ければ、違法性のある事件・犯罪に巻き込まれる危険性があり、逆に適切な判断能力のある未成年なら、犯罪に巻き込まれるようなことは無いわけです。

 インターネット使用人口が増えていると言えども、インターネットに関する技術や接続環境、法整備に関して、いまだ発展途上段階にあり、利用者・サイト制作者・管理者ともに手探りであるのが現状です。

しかしながら、この技術はおそらく急速に発展を遂げるものであり、必須技術となっていくでしょう。



3.教育やお子様に与える影響に関する考察

 親御さんとしては、お子様が「犯罪に巻き込まれるのではないか?」とか「間違った価値観を得てしまうのではないか?」といった心配をされるかもしれません。ごもっともです。しかしながら、それは教育の観点からも、現実社会を生きていく上で重要な、「実生活から何かを学び取る」ことを「学ぶ」機会でもあります。

 つまり、それは例えば、「必要な情報を的確に得る。間違った情報や、キケンなことには近づかない。染まらない。」ということでもあります。仮に「情報選択能力」とでも言いましょうか、わかりやすく言えば、「知らない人に付いて行ってはいけませんよ」と幼児教育の段階で行われる、「しつけ」として言い聞かせられるものと同質です。

 お子様が「間違った情報に惑わされない免疫力、抵抗力」を持つ、精神的に、倫理的に、「正しい判断力を持つ」という成長を促すためにも、僕はお子様がインターネットを利用することを推奨します。

 出来れば、夕食などの会話のおりに「おもしろいサイトを見つけたよ」、「あれはおもしろかったね」、「こういうサイトは○○だから、××といったキケンがあるんだよ」と家族間で話題・情報交換・子供に注意を促すぐらいであれば、なおさら、インターネットが有意義なものとなるのではないでしょうか?

親子で新しい技術を学ぶことを通して、情報収集・教育・娯楽の機会にすることが重要だと思います。

 現場の先生たち・保護者の方々の意志や努力に反し、悪化していく教育環境・社会状況を憂慮されている保護者の方もいらっしゃると思いますが、自己責任の世の中です。厳しいことを言うようではありますが、実際に、親御さん自身が自分の目で判断し、自らの手で守らないといけない状況もあるわけです。


 インターネットも現実社会とおなじく、
子供の成長に関して、親子の対話・親子の成長は必須なのです。


4.追記

 現状では、インターネットにおいての「人のつながり」というのは匿名性が高く・個人情報の秘匿性が高いものの、大小さまざまのコミュニティーが乱立し、そのコミュニティーそれぞれが個人で運営するサイトやホームページなどを通じ、それぞれのコミュニケーション関係を保っているような状況です。

 たしかにマイノリティーな文化のコミュニティーや、セクシャリティーに依拠するコミュニティーも存在しますし、危険性があると伺われる「出会い系」と称されるチャットなどを通じたコミュニティーも存在します。しかし、ごく一部です。

 経験上、それらコミュニティーにおいては、現実社会とおなじく、常識や良識が無い者は、そのコミュニティーから排除される方向に動きますし、コミュニケーション手段として発展してきた経緯から、不明確ながらも、エチケットやマナーといったルールが存在します。ほとんどのコミュニティーは危険性などは無く、普通に生活する一般社会となんら変わりはありません。

 そして、インターネット初心者の方に対し、そういったマナーも優しく教えてくださる方もいますし、キケンな情報に関する警鐘(キケンから避けるための)・各種の知識、例えば、善意による自作プログラムの公開、ホームページ作成技術などに関しましても、善意で公開しておられる方もいらっしゃいます。

 世の中、まだまだ捨てたもんじゃありません。常識はもちろん、良識のある大人もたくさんいるのです。


 未成年でインターネットを利用している方の中にも、インターネットを有意義に利用し、学校教育における一元的な、画一化された教育にその才能を抑圧されることなく、自分の創作能力・表現能力を引き伸ばす機会・それら能力の発表の場としている子もたくさんいます。さまざまな悩みや不安の解消、友達作りといったコミュニケーション能力を発達させる機会にしている方もいます。


是非、ありのままの状況を把握し、現状を的確に認識してください。


重ねて申し上げますが、インターネットに限らず、各種メディアを「味わう」にあたり、重要なのは自己責任能力、情報選択能力と常識や良識を伴ったエチケットやマナーです。


2002/03/31 管理人




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